ブレーキパッドを車検時に交換したのに音が「キー」と出る原因は?
車検時にブレーキパッドを交換したはずなのにブレーキを踏むと「キー」と異音がするので見てほしいと、連絡があった。
この車は3か月ほど前に車検を受けていて、その時にパッドを交換しています。
ブレーキ時のキー音はパッドの交換時期とも言われてますが今回は既に交換済み。
一体、原因はなんだったのでしょうか?
とりあえず車を引き取って車を診てみます。
音が「キー」と出る原因は?
ブレーキパッドの摩耗が進んでパッドのセンサー板とローターが接触している音だと思ったが、
パッドは交換済みということは、パッドの摩耗による音ではなく、パッドとローターとの当たり面の具合によるものだろうと予測した。
車を引き取りに行くと、車検を受けたばかりなのに…とユーザーは不満げだった。
症状が出始めたのはいつごろかと聞くと、1週間ほど前から出始めて、その後は止まらないとのこと。
車を引き取り、工場への帰り道にブレーキペダルを踏むと、たしかに前輪からキーッという不快な音がする。
ブレーキを頻繁に踏んである程度焼いてみたが、変化は見られなかった。
パッドの材質による異音ではなく、やはり当たり面に原因がありそうだった。
車検時に交換したブレーキパッドを点検してみると
工場に戻りタイヤをはずしてパッドを点検すると、前後に溝が入っていて、ローターについた段差がそのままパッドの段差になっていた。
以前に交換した摩耗したパッドは、双方が同じ形で摩耗していたために異音が出なかったのだが、パッドだけ新品にした為に当たり面が変わってしまい、異音が発生していた。
対処方法は?
本来ならばローターを交換するのが正しい修理方法だが高額になるので、パッドの異音が出る当たり面をやすりで削ってローターに触れないように加工した。
その場しのぎにすぎないが、車の年式と予算を考えるとこの方法しかない。
作業を終えて試運転すると異音が消えていたので
「パッドを新品に交換したために当たり面の加減で出ていた異音で、異常ではありません。
パッドの面を削って加工してあるので、今のところは異音が消えていますが、また異音が発生する可能性もあります」
とユーザーに説明して納車した。
作業を終えて
日本車の多くはパッドが摩耗したらパッドのみを交換するが、ヨーロッパ車などではローターも同じように摩耗しているので、パッドとローターはワンセットで交換といった考え方だ。
今回の事例も、ワンセットで交換していれば起こらなかった不具合だったはず。
ユーザーの予算に合わした整備をしたのだが車検を受けた日が浅いうちに再入庫となるとユーザーが不満に思う気持ちもわからなくもない。
車検時に説明していたら不満にならずに車を預かれたかもしれないし、予算に合わしたのだから、しょうがないとお互いに納得できてたかもしれない。
修理する勉強だけでは無く、お客様への納得のいく応酬話法なども勉強も必要と改めて思った今回の整備でした。