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エンジンが止まって始動しない以外な原因

整備備忘録
知り合いの工場から、クランキングはするがエンジンが始動できないので見てほしいと連絡を受けた過去の話。
状況は、走行中にすーっと止まったとのことで、タイミングチェーンが切れているようだと言う。
今までの経験でチェーンが切れたということは1度しか無く、あまり聞いたことはない。
だが、点火プラグからは火花は飛ばず、クランキングすると圧縮が抜けたような音がする。
さらに、カムセンサをはずして中をのぞくと、カムシャフトが動いていなかったとのこと。
これらの状況から、エンジン内部のトラブルが原因であることは間違いと判断し車両を点検。
さっそくカムカバーを外して点検すると、タイミングチェーンが緩んだ状態になっていて、指でつまんで引っぱると、やはり切れていた。
タイミングベルトが切れることは理解できるが、通常では切れることことのない金属製のチェーンがなぜ切れたのか。
この車両はオイル管理も悪くなく、レンタカーだった車を中古で購入したものという。
メンテナンスに関しては、キチンと管理されていた車両と推測できた。
原因を調べる為にチェーンまわりを分解していくとオイルパンをはずしたところで中からボルトが落ちてきて、さらにフロントケースをはずすと同時にチェーンガイドもいっしょに出てきた。
カムスプロケット、チェーンテンショナー、オイルポンプ、クランクギアなど入念に点検したところ、クランクギアのすぐ横にあるポジションセンサーという部品に傷があった。
オイルパンをはずしたときにでたボルトがクランクギアの間に挟まってロック状態になってしまいクランクシャフトの回転力で切れてしまい、同時にポジションセンサにも傷をつけてしまっていたようだった。
では、なぜチェーンガイドの取付ボルトが2本ともはずれてしまったかのか。
このエンジンを点検しているときに、液状ガスケットがやけに分厚く塗られていたことに気づいた。
おそらく以前に分解されたことがあり、そのときにチェーンガイドの取付けボルトを仮締めのまま組み上げてしまった可能性がある。
推測ですが、可変バルブタイミング(VVT)がトラブルを起こして交換することになり、カムシャフトとチェーンを脱着するついでにチェーンとチェーンガイドも交換しようということになったが、その作業でボルトの本締めを忘れてしまったのだろうと思った。
これ以外にタイミングチェーンまわりを分解する理由もみあたらない。
ちなみに、このエンジンはタイミングチェーンが切れるとピストンに吸排気バルブがぶつかる為、修理するにはヘッドまわりをオーバーホールしなくてはならない。
今回はユーザーと相談し中古のエンジンと載せ換えることになった。
一つの整備ミスがこれほどにも重大なトラブルを招くことを改めて痛感した。
確実な整備をするには、めんどうでも作業箇所の再確認をする必要を感じました。